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田中 裕貴整体サロンulurido(ユルリド)の田中 裕貴です。コラムをご覧いただきありがとうございます。
突然ですが、今この瞬間、あなたの脳はいくつのことを同時に処理していますか?
このコラムを読みながら、音楽が流れていたり、スマホの通知が気になっていたり、さらには今日のごはんのことが頭の片隅にあったしますよね。気づいていないだけで、脳はいつも複数のことを同時にこなしています。


料理をしながら音楽を聴く。勉強しながらYouTubeを流す。仕事中も複数のタブを同時に開くし、LINEやチャットが来たら即返信。現代の僕たちの脳は、マルチタスクが当たり前の状態になっています。
現代に生きていればこれが通常モードです。問題は「マルチタスクで脳が疲れていることに、気づきにくくなっている」ということです。
実際は疲れが溜まっていっているのに”疲れているという自覚が薄い”。それが一番やっかいだと思っています。
少し歴史の視点から見てみたいと思います。現代の「当たり前」も、長い人類の歴史から見るとごく最近生まれたものだったりします。
縄文時代の人々が1日に処理していた情報量と、現代人が1日に処理している情報量を比べると、その差は約50万倍とも言われています。江戸時代の人が1年かけて得ていた情報量を、現代人はたった1日で処理しているとも。


でも、人間の脳そのものはほとんど進化していません。縄文時代も江戸時代も、今も、人間の脳の基本的な構造は変わっていないんです。
縄文時代の人は、食べ物を探すこと、天気を読むこと、仲間と協力すること。基本的にひとつのことに集中して生きていました。江戸時代でも、情報源はせいぜい噂話や瓦版程度。今のようにスマホを見ながら音楽を聴いて仕事をする、なんていう状況は想像もできなかったはずです。
つまり、マルチタスクは現代が生み出した「新しい習慣」で、脳にとっては対応が追いついていません。疲れるのは、当たり前のことなんです。
脳への情報の負荷が本格的に加速したのは、インターネットが一般に普及した1990年代半ば頃からのことです。1995年のWindows95の登場で、パソコンが家庭に入り込み、情報収集の方法が激変しました。
それまでは、情報を得るには本を読む、ラジオを聞く、新聞を読む、テレビを見る、人に聞く。基本的に「ひとつのメディアにじっくり向き合う」しかなかったんです。
ところが2000年代にブロードバンドが普及し、2010年代にスマートフォンが当たり前になってから、状況が一変します。メール、SNS、動画、ニュース、チャット。複数の情報が同時に手元に届き、通知が鳴るたびに注意が途切れる。仕事中も、移動中も、家でくつろいでいるときも、脳は常に何かに反応し続けています。
縄文時代から江戸時代まで何万年もかけてゆっくり増えていた情報量が、たったここ20〜30年で爆発的に膨れ上がった。脳がついていけないのは、当然のことだなと思います。


ここで脳科学の視点からもお話すると、実は脳科学的に、本当の意味での「マルチタスク」は存在しないと言われています。複数のことを同時に処理しているように感じていても、脳は実際には注意を高速で切り替えているだけ。これを「タスクスイッチング」といいます。
「同時にこなしている」という感覚は、脳が高速でタスクスイッチングを繰り返している結果なんです。その切り替えのたびに、脳はエネルギーを消耗しています。
筋トレをすると筋肉に乳酸が溜まって「疲れた!」とはっきり感じますよね。でも脳の疲れはそうじゃない。姿勢が悪いまま長時間デスクワークをしているときのように、じわじわと負担が蓄積していく感じです。気づいたら首や肩がガチガチになっていることに気づくように、脳も知らないうちに慢性的な疲労が溜まっていきます。
脳が慢性的に疲れていると、こんなことが起きやすくなります。
「体のどこかが悪いわけじゃないけど、なんとなくしんどい」という状態は、脳が休めていないサインのことが多いんです。
とはいえ、エンタメが溢れる現代で「マルチタスクをやめましょう」というのは、理想ではあるかもしれないけれど正直難しい。何かしながら、何かするのが当たり前になっているので、シングルタスクに戻すこと自体がストレスになることもあります。
まず大切なのは、やめることではなく、「自分の脳が初期の設定でマルチタスク状態になっている」と気づくことだと思っています。


実はこの「気づく」こと自体に意味があります。自分の状態を客観的に把握する力を「メタ認知」といいますが、気づくだけで一歩引いて冷静になれる、という効果が研究でも報告されています。「あ、今脳がフル回転してるな」と気づけるだけで、少しだけ脳の緊張がほぐれることがあるんです。
マルチタスク(高速タスクスイッチング)をやめることは難しくても、脳を休める時間をつくることはできます。というか、今の環境だと意識的に取り入れないとなかなか本当に休むことは難しい…なので、この3つのうち、是非ひとつでも日常に取り入れてみてください。
1日15分だけシングルタスクの時間を作り続けると、その15分だけでなく、1日を通して集中力が上がるという報告があります。外部の通知を断って、ひとつのことだけに集中する。読書でも、運動でも、料理でも、なんでも構いません。小さな習慣が、脳全体の状態を変えていくんです。
15分まとまった時間が取れなくても大丈夫です!日常の動作の中で一つに集中する動的マインドフルネス(動的瞑想)が手軽に取り入れやすいです。
動的マインドフルネス(動的瞑想)
瞑想というと、目を閉じて座るイメージがあるかもしれませんが、日常の動作の中でもできます。歯を磨くとき、歯磨きだけに集中する。洗濯物を畳むとき、畳むことだけに集中する。足の裏の感覚に意識を向ける。呼吸だけに集中する時間を1分つくる。「今この瞬間、ひとつのことだけに意識を向ける」。これが動的マインドフルネスです。特別な道具も場所も必要なく、日常の中でそのままできます。
個人的おすすめ



僕が継続しやすかったのは、歩行中に足の感覚に意識を集中することでした。一歩一歩、地面に触れる感覚に意識を向ける。気づくと頭の中が静かになっていて、散歩が終わった後の脳のすっきり感が違います。通勤や通学でも手軽にできるので、ぜひ一度試してみてください。
25分集中して5分休憩する「ポモドーロ・テクニック」は有名ですが、人間の集中力には「15・45・90の法則」という目安があると言われています。深い集中が持続できるのは15分、大人が無理なく集中できるのが45分、上限が90分。
だから「25分だと乗ってきたときに途切れる」と感じる方は、45分集中して10〜15分休憩するアレンジでも全然OKです。



90分体を動かさないのは、体をケアする身としてはしんどくなると思うので、25分か45分がおすすめです!
大切なのは、集中する時間と休む時間をきちんと区切ること。休憩中は画面を見ない、歩く、深呼吸するなど、脳を休める時間にしてください。


uluridoの施術中、よく「気づいたら眠っていました」とおっしゃっていただきます。
施術中は、患者さんは心地よい刺激にただ集中している状態になります。考えごとが自然と止まって、脳が静かになっていく。これはまさに、マインドフルネスの状態に近いんです。
意識的にシングルタスクの時間をつくることが難しいと感じる方にとって、施術はそれが自然に起きる時間でもあります。脳が深く休まると、体も心もゆるんでいく。



そして、脳の疲れを溜め込まないことは、体の不調の予防にもつながります。「なんとなくしんどい」「寝ても疲れが取れない」という状態が続く前に、定期的に脳を休める時間をつくること。それが、体と心を整え続けるために毎日自分ででいる大事なセルフケアだと思っています。
大切にしているのは、
「不調を改善すること」だけでなく、
「心地よく生きること」。
整体の時間が、体を整えるだけでなく、
心まで落ち着けるひとときになれば嬉しいです。
どんな小さなことでも構いません。
安心して、ご相談ください。


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